自衛隊のメリットとして衣食住がタダという宣伝がされています。
私も衣食住がタダというメリットに惹かれた一人であります。
しかし、実際に入隊して自衛隊の現実を目の当たりにすると
衣食住がタダというのはウソであることがわかりました。
実際には「一部タダになることがある」というのが正しいでしょう。
「ここまで自腹を切らないといけないのか!」とビックリした体験をまとめてみました。
「衣」編はこちら
食が無料じゃない
軍隊で一番大事なのは「食事」です。
「腹が減っては戦はできぬ」と昔から言われてる通り食事は軍隊の士気に大きな影響を与えます。
幹部候補生学校(以下OCSと略)に入校した当初は、食事は無料で支給されました。
OCSは隊舎での生活が義務付けられており、朝昼夜は食堂で食事をとります。
休日も事前に申請すれば無料で喫食できました。
自衛隊では食事をとることを「喫食(きっしょく)」と言います。
しかし、OCSを卒業し部隊に配属されると状況が大きく変わります。
部隊に配置されると、幹部は特別な理由がない限り、営内に住むことができません。
なので基本的に駐屯地外の官舎に住むことになります。
駐屯地外に住んでいる自衛官を営外者、駐屯地内に住んでいる自衛官を営内者と区別し、営内者には朝昼夜の食事が提供されます。
営外者の幹部自衛官が駐屯地の食堂を使うのは昼のみになります。
しかし、この昼食が有料になるのです。
幹部は「学校」と呼ばれる専門的な知識を学ぶ場所へ数ヶ月の移動になることがありますが、「学校」での食事は基本的に無料になります。
幹部は昼飯が有料になる
部隊では既婚者は「喫食者の枠」という理由を付けられ
お金を払って喫食申請をしたくてもできません。門前払いを喰らいます。
既婚者は食べられないとなると、独身の幹部しか食べられないの?というとこれはちょっと違います。
既婚者であっても指揮官(連隊長や中隊長)や高級幹部(各科の科長)は有料ですが食べることができます。
指揮官や高級幹部は食堂での会話が一つの交流の場となっており、隊員と同じものを食べて、より駐屯地を知るという意味もあると思います。
結婚していない独身幹部には2種類あり、
「初級幹部と呼ばれる比較的若い幹部」と「結婚期を逃した孤高の独身幹部」に分けられます。
特に後者は高級幹部から「早く結婚しなよ」と急かされます。
独身幹部は有料ですが昼食を食べることができます。
自衛隊員として、幹部として歯を食いしばって仕事をしているのに国は昼食もまともに提供できないのかと幻滅しました。
お金を払っても食べれない理由
理由は「予算ありきだから」
基本的に駐屯地に配分される予算は一定で営外者の喫食者が増えるとそれだけ予算が圧迫されます。
私たちがお金を払ったとしても単純に駐屯地としての糧食費に充てられる訳ではないのです。
哀しいかな、これが自衛隊の現状です。
ちなみに、営内者は無料と書きましたが実は食事代が給料から既に引かれた状態になっています。
厳密にいうと営内者も無料ではありません。
まとめ
結婚している幹部は基本的にお弁当を持参することになります。
幹部だけではなく、営外者である陸曹や陸士も食堂で昼飯を食べることができません。
彼らも基本的にお弁当を持参することになります。
食がタダなのは営内者の特権です。
自衛隊は大々的に衣食住がタダであることを謳っていますが、もう少し事実を宣伝した方がいいと思います。
騙されたと感じ辞めていくという負のスパイラルを断ち切らないといけません。
憲法9条の改憲には賛成ですが、ミクロな視点での抜本的な改革も必要だと思います。
改憲と同時に隊員の地位向上と不遇の改善を願うばかりです。
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